患者さんの為の医療講座|弁護士法人ALG&Associates医療事業部記事一覧

1 MRSAとはMRSAとは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の略で、院内感染でよく問題となります。そもそも黄色ブドウ球菌というのは、身体の皮膚・粘膜などに生息する常在菌で普段これに感染することはないのですが、たとえば外科手術の後であるとか、癌などで免疫力が低下していると感染しやすくなります(易感染性といいます)。この黄色ブドウ球菌のうち、メチシリンという抗生物質に耐性を獲得したものがMRSAです。こ...

1 血清pHとカリウムの関係について、覚え方にはこつがあります。血清pHとカリウムの関係について簡単にまとめた次の表を見てください。pH 7.00 7.10 7.20 7.30 7.40 7.50 7.60 7.70__________________________K  6.0  5.5  5.0  4.5  4.0  3.5  3.0  2.5いわゆる正常値と言われているpH7.40を中心に見...

1 酸塩基平衡障害さて、前回「血清pHとカリウムの関係」について書きましたが、今回はもう少し酸塩基平衡の基本的なことを書いてみたいと思います。血清pHは、以前にも書きましたが7.4に維持されていて、これが正常値(基準値)になります。そして、この値が小さくなると、血液が酸性になっていることを意味し、これをアシドーシスと言います。逆にこの値が大きくなると、血液がアルカリ性になっていくことを意味し、これ...

1 エコノミークラス症候群皆さんもエコノミークラス症候群という名称を聞いたことがあると思いますが、どのような機序で起こるのかご存じですか。私は医者ではないので、あくまでも医療裁判を手がける弁護士の浅知恵の範囲で解説したいと思います。このコラムは医療過誤とは直接関係はありません。エコノミークラスによる長時間のフライトで問題となるのは、深部静脈血栓症です。どのような機序で発症するのかというと、狭い空間...

1 血圧に影響を与える因子この間、健康診断で血圧を計ったらけっこう低くて、ちょっと気になったので看護師さんに「低すぎませんか。大丈夫ですか?」って尋ねたら、「大丈夫ですよ。皆さん、高い血圧を下げるのに必死ですから(笑)」みたいな…。収縮期の血圧が90を下回るとショック症状が出ると言われているので、生命の危険すらあります。普段の生活では問題ないんですけど、交通事故なんかで出血したら、私の場合は助から...

1 はじめに麻酔科はそこそこに医療過誤(医療事故)の多い分野です。医療事件を扱う弁護士としても、麻酔に関する一定の基礎知識を持っていても損はないでしょう。そこで、今回は、麻酔に関する極めて基礎的な知識をここで確認しておきたいと思います。2 麻酔の目的麻酔の目的は、大きく分けて2つあります。1つは、患者の不安・緊張などといった精神的ストレスを軽減すること。もう1つは、痛みという肉体的ストレスを軽減す...

1 体内の水分バランス成人男性の場合、体重の約60%が水分だと言われています(成人女性だと約50%)。もっとも、体内の水分と言っても、大きく分けると細胞内液と細胞外液に分かれます。さらに、細胞外液は、間質液と血管内の血漿に分かれます。体内水分60%の内訳は、細胞内液が約40%で、間質液は約15%、血漿はわずかに約5%です。ここで血漿は約5%と書きましたが、血漿=血液ではないことに注意してください。...

1 発生機序に関する学説大腸癌の発生機序について、学説は2つに分かれているようです。ひとつは、大腸の正常組織がいきなり癌化するのではなくて、まず腺腫(これ自体は癌ではないそうです)を形成し、この腺腫が発生母地となって大腸癌が発生するという見解があります。adenoma-carcinoma sequence説と呼ぶそうなんですが、長いので便宜上A説としておきましょう。この腺腫でみなさんにも馴染みがあ...

1 遺伝的素因神経性食思不振症が、主に思春期における家庭内の人間関係、受験・就職などのストレスにより発症すると言われていることは前回でも触れましたが、もちろんそれが唯一の本症発症原因というわけではありません。そして、中には遺伝的素因もあるのでないかという指摘もあります。遺伝的素因などと言われると、これを読んだ患者さんのご両親は気にしてしまうかもしれませんが、仮に何らかの遺伝的素因が発症に一定の影響...

1 どんな病気か弁護士として医療過誤事件に取り組んでいると、よくお目にかかる疾患があります。例えば、敗血症、アナフィラキシー・ショック、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、MOF(多臓器不全)、SIRS(全身性炎症反応症候群)などは、医療過誤を取り扱っている弁護士に馴染みのある疾患です。表題に挙げた播種性血管内凝固(DIC)もそのひとつで、医療専門の弁護士としては是非常識として知っておいて欲...

1 末梢静脈からの輸液輸液は医療現場で日常的に行われており、医療の専門家にとっては初歩的なことのように我々素人には見えますが、輸液ルートの選択と確保は、医療事故の危険性が高い行為だそうです。 特に、内頸動脈、鎖骨下静脈、大腿静脈のいずれかを輸液ルートに選択する「中心静脈法」は、医療事故の多い手技であると言われています(武井卓、参考文献@、55頁参照)。経静脈の輸液には、大きく分けて、末梢静脈を輸液...

1 水・電解質補給のための輸液水・電解質補給のために用いられる輸液には、大きく分けると、等張電解質液と低張電解質液があります。等張電解質液とは、電解質の濃度が細胞外液とだいたい等しくなっている輸液製剤です。このことは、同時に輸液製剤の浸透圧が細胞外液と等しくなっていることを意味します。したがって、この輸液製剤は、細胞内には移行せず、細胞外にとどまることになります。ここから分かるように、等張電解質液...

1.多系統萎縮症とはシャイ・ドレーガー症候群は、多系統萎縮症のひとつです。多系統萎縮症には、この他にオリーブ橋小脳萎縮症と線条体黒質変性症があり、特定疾患(難病のうち厚生労働省が実施する難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野の対象に指定された疾患)の27番目に認定されています。シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症の3つは、小脳系、黒質線条体系、自律神経系に病変を持ち、...

1 血圧の方程式血圧は、皆さんも病院などで測ったことがあると思いますが、血圧に影響を与える因子やその調節機構について知っている人はあまりいないのではないでしょうか。でも、医療過誤事件を扱う弁護士としては、基礎的知識として知っておく必要があると思います。血圧は、以下の式で表されます。血圧= 心拍出量 × 末梢血管抵抗また、心拍出量に影響を与える変数は、循環血液量と心臓の収縮力(ポンプ力)ですので、こ...

1 脂肪塞栓症候群とは塞栓とは、心臓、脳、肺などの重要な臓器に酸素を供給している血管が何らかの物質で詰まってしまい、その結果血流を阻害してその臓器の細胞を壊死させてしまう疾患をいいます。医療過誤でも少なからず見られる疾患の一つです。塞栓を招く物質として典型的なのは、血栓です。心筋梗塞や脳梗塞も多くは血栓が詰まることで壊死を招きます。肺血栓塞栓症は、その名の通り、血栓が肺動脈に詰まって塞栓を招く疾患...

今ではインフォームドコンセントやセカンドオピニオンといった言葉を聞くようになって久しいことと思います。前者は、十分な情報を伝えられた上での合意を意 味し、後者は、専門的知識を持った第三者に意見を求める行為を意味します。もちろん、両者は全く別物ですが、共に患者側の医療行為に対する自己決定権を重 視する最近の医療業界の傾向を象徴する用語です。インフォームドコンセントが医療機関側に求められるようになり、...

1 はじめに敗血症(sepsis)とは、感染巣から病原菌・毒素が血液中に侵入して全身性の過度の炎症反応を引き起こす重篤な臨床症状を指します。全身性の炎症反応症候群をSIRS(systemic inflammatory response sundrome)と言いますが、このSIRSのうち、感染を背景としたものが敗血症です。起炎菌の多くは、グラム陰性桿菌又はグラム陽性球菌であると言われています。医療過...

1 はじめに肛門管癌は、直腸肛門管に発生する癌の2〜5%と言われており、消化器癌の中では希な癌です。大腸癌取扱規約によると、肛門管とは、「恥骨直腸筋付近部上縁より肛門縁までの管状部」と規定されております。この定義によると、恥骨直腸筋付近部上縁よりも下に発生した癌であれば肛門管癌と判断されるのですが、以前は、恥骨直腸筋付近部上縁より下部であっても、歯状線よりも上であれば直腸癌とされていたそうです。そ...

1 呼吸不全の原因呼吸不全とは、呼吸障害によって酸素の供給が低下したために、酸素需要を満たせなくなった状態をいいます。呼吸不全 = 酸素供給 < 酸素需要呼吸不全を招く原因には、@換気障害、A拡散障害、B運搬障害があります。これらのいずれもが、酸素供給を低下させます。換気障害があれば、酸素を十分に外界から取り入れることができず、酸素の供給は低下します。また、拡散障害があると、せっかく十分な酸素を取...

1 アニオンギャップ anion gap(AG)目的:代謝性アシド−シスのケースで陽イオン(+)と陰イオン(−)の差(ギャップ)を見る。@ギャップが正常値Aギャップが正常値を超えて増大に分けて考える。計算式:AG=Na − (Cl + HCO3)   陽イオン       陰イオン正常値(基準値):8〜16mmol(15で考えると便利)@AG<15→AG正常の代謝性アシド−シスAAG>15→AG増...

1 機序と病態・骨粗鬆症を基礎として高齢者に好発→骨再生能力は低下している・高齢者の転倒→低エネルギー外傷・最も癒合しにくい骨折のひとつ・間接内骨折のため腫脹・皮下出血は少ない〔Gardenのstage分類〕stageT 不完全骨折内側で骨性連続は残存stageU 完全嵌合骨折軟部組織の連続性は残存stageV 完全骨折Weitbrechtの支帯の連続性は残存stageW 完全骨折全ての軟部組織の...

(1)医学文献を調べる必要性医療過誤訴訟事件を取り扱う場合、当該患者の診療記録等を入手できれば、当該患者がどのような疾病であり相手方医療機関においてどのような内容の治療を受けたのかを把握することができます。しかし、医療過誤事件を法的に解決するためには、相手方医師が行った診療の問題点を「過失」や「因果関係」など法的な観点から整理、構成しなければなりません。そのためには、当該患者の診療記録等のみならず...

(1)自己決定権自己決定権とは、自己に関する事柄については自らが決定できるという、憲法13条に由来する中核的な人権である。そして、この自己決定権は医療現場では患者の権利として非常に重要な権利であるところ、インフォームド・コンセントが正しく行われなければ十分な自己決定権の保障ができない。そこで、医師の説明義務が重要となるのである。(2)医師の説明義務の根拠医師の説明義務は、主に以下の二つの法文から根...

1 はじめに皆さん、感度・特異度という言葉の意味、ちゃんと理解してますか?医療過誤に関する医学文献を読んでいると、頻繁に目にする言葉ですが、頭の中は混乱してませんか、大丈夫ですか?この言葉は、必ず理解してください。そして、正確に理解してください。2 世界一分かりやすい、「感度、特異度」の覚え方1)感度の良い検査とは、 「癌の人を、正しく”癌である”と診断することができる」可能性が高い。 逆に言えば...

1,未破裂動脈瘤未破裂動脈瘤とは,脳動脈が部分的に瘤状などに拡大・拡張したものであり,血管の分岐部に発生しやすい性質があり,特に内頸動脈と後交通動脈分岐部,中大脳動脈分岐部,前交通動脈の3つの部位が好発部位です。自覚症状がない場合も多いですが,大きくなると神経を圧迫し複視や視野障害などの症状が発生することがあります。また,動脈瘤が破裂するとクモ膜下出血を発症し,患者が死亡したり重篤な後遺障害を残す...

1 はじめに小山進医師によると、ナトリウムの補正の誤りによる医療事故というのはけっこうあるそうです(下記参考文献参照)。しかし、実際には日の目を見ない。医療紛争として顕在化してこないものも多数あるとか。それは、原告側も被告側も気づかないことが多いからだそうです。  要するに、代理人弁護士の勉強不足ということですよね。  本来であれば、医療訴訟として意義がある、医療機関に医療過誤の責任を問えた、にも...

1 BUN(尿素窒素)@BUNとは 食事によって摂取された蛋白質や体内の蛋白質が代謝され老廃物として腎臓から排泄されるものA基準値は10、異常値はBUN>20、腎不全はBUN>30BBUNは、脱水や消化管出血、ステロイドホルモン投与でも上がることがあうので注意。腎疾患に特異的ではない。 肉食主体の食生活をしている人の中には、健康なのにBUNが30になることもある。 脱水を疑ったら、BUN/Cr比と...

前回までは、先駆的医療に関する諸問題を連続して取り上げてきましたが、今回は話題を変えて、「弁護士費用保険」について取り上げてみたいと思います。車を運転し、任意保険に加入されている多くの方は、任意保険に「弁護士費用特約」(いわゆる「弁特」)がついているのはご存知ではないでしょうか。交通事故の被害者となってしまった場合に、損害賠償請求をするための弁護士費用を支払ってくれる保険のことで、「弁護士費用保険...

第1 設題・術中手技の過誤事例(再掲)患者Aが、B医師の執刀下で手術Xを受けたところ、術前に思いもよらなかった傷害を受けた場合、AさんはB医師に対して、あるいはB医師を使用するC病院に対して、損害賠償を請求できるでしょうか。今回は、B医師の手術手技が著しく稚拙であったために、術中にAさんの身体のうち本来傷付けるべきでないところに傷が付いたという場合を考えます。第2 訴状の送達1 訴状審査これは医療...

癌の見落としと悪性リンパ腫(1)今回は、最近うちの事務所でやった、癌の見落としと悪性リンパ腫の事例を取り上げたいと思います。医療過誤訴訟自体は、原告(患者側)の勝訴和解なので、判決は出ていません(実際に訴訟を担当したのは、うちの医療専門の佐久間弁護士です)。まず、医療過誤事案の中身に入る前に、悪性リンパ腫に対して、概説したいと思います。悪性リンパ腫は、リンパ節、リンパ管などのリンパ系組織から発生す...

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