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  第7回 / 水分バランスと輸液  
     
 
1 体内の水分バランス

成人男性の場合、体重の約60%が水分だと言われています(成人女性だと約50%)。

もっとも、体内の水分と言っても、大きく分けると細胞内液と細胞外液に分かれます。さらに、細胞外液は、間質液と血管内の血漿に分かれます。
体内水分60%の内訳は、細胞内液が約40%で、間質液は約15%、血漿はわずかに約5%です。ここで血漿は約5%と書きましたが、血漿=血液ではないことに注意してください。血漿とは、血液の成分のうちの液体成分のみを指しています。血液には赤血球などの固形成分もありますので、血液の量>血漿(水分)となります。

ところで、この内訳を水分分画というのですが、輸液の際にはこれが重要です。例えば、電解質を含まない自由水は、輸液するとこの水分分画にしたがって分布してしまいますが、ナトリウムや塩素などの電解質は、細胞の内外を自由に行き来できないからです(この点については後述します)。

2 輸液製剤の基本の「き」

代表的な輸液製剤に、5%ブドウ糖液と生理食塩水、リンゲル液があります。

5%ブドウ糖液は、輸液されるとブドウ糖が体内ですぐに代謝されて、ほとんど自由水と同じになってしまうんですね。ブドウ糖はインスリンで細胞内に取り込まれてしまうそうなんです。したがって、自由水しか残らない。
そうすると、自由水ですから細胞の内外を自由に行き来できますので、先ほどの水分分画の割合にしたがって分布してしまうんです。

これが輸液との関係でなぜ重要かというと、例えば循環血液量を増やしたいと考えて輸液する場合、5%ブドウ糖液だと、増やしたい量の何倍も輸液しないといけなくなってしまうんです。しかし、そうすると、目的とする循環血液量は確保できても、今度は細胞内に余計な水分が供給されてしまって、細胞浮腫になってしまう危険が出てきます。

これに対して、生理食塩液やリンゲル液などは、その成分にナトリウムや塩素を含みます。細胞の細胞膜は半透膜なので、自由水はその内外を自由に通過させますが、ナトリウム、塩素などの電解質は透過性が低いため、細胞内にはなかなか入っていけない。したがって、細胞外液としてとどまってくれるわけです。

もっとも、生理食塩液などの輸液製剤も細胞外液に分布しますが、血管の中にすべて分布してくれるわけではありません。むしろ、間質液として分布してしまう割合の方が高いんですね。こうしてみると、循環血液量を増加させるための輸液って、けっこう難しそうですよね。

とは言っても、ここまでは教科書に書いてある理論的なお話…。

実は、臨床の現場では教科書通りに行かないそうです(笑)。
 
         
       
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