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  第10回 / 播種性血管内凝固(DIC)  
     
 
1 どんな病気か

弁護士として医療事件に取り組んでいると、よくお目にかかる疾患があります。例えば、敗血症、アナフィラキシー・ショック、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、MOF(多臓器不全)、SIRS(全身性炎症反応症候群)などは、医療過誤を取り扱っている弁護士に馴染みのある疾患です。

表題に挙げた播種性血管内凝固(DIC)もそのひとつで、医療専門の弁護士としては是非常識として知っておいて欲しい疾患なので、今回取り上げてみました。

DICとはどのような病気かというと、血管内に広範囲に渡って小さな血栓ができてしまう疾患です。この疾患の何が問題かというと、第1に血栓が血流障害の原因となる点です。当然ですが、血栓が血管の中で播種性に形成されていますので、同時に複数の臓器に対する血流障害を起こし、多臓器不全の原因になりえます。第2に、血栓の形成に血液凝固因子が働いてしまっているため、いわば血小板が無駄遣いされて、出血傾向が出てくる点です。

この疾患は、これ自体が独立した病気ではなく、必ずDICを招いた基礎疾患がある点です。その基礎疾患は多岐に渡り、癌、白血病、敗血症、外傷、感染症、劇症肝炎など実に多くの基礎疾患が原因となりえます。

2 DICに対する治療

治療の基本は、大きく分けて基礎疾患自体に関する治療と微小血栓の形成を抑制するための抗凝固療法です。基礎疾患に対する治療は、これが原因になっているわけですから当然ですよね。
しかし、基礎疾患といっても、例えばそれが癌の場合など、基礎疾患の治療自体が難しく、かつ時間も要するわけです。したがって、抗凝固療法が重要となってくるわけで、DICを抑制することが緊急課題になってきます。

ただ、ここで問題が起こります。抗凝固療法という表現からも察しがつくように、微小血栓が形成されているわけですから、血栓ができにくくなるように、抗凝固薬(例えば、ヘパリン)を投与するわけですが、抗凝固薬の投薬は他方でDICのもうひとつの特徴である出血傾向を促進させてしまうリスクも含んでいます。
 したがって、抗凝固療法を施すとしても、出血傾向に注意しながら慎重に行わなければならず、これがDICに対する治療を難しくしている点です。
 
         
       
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