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  呼吸不全の機序  
     
 
1 呼吸不全の原因

呼吸不全とは、呼吸障害によって酸素の供給が低下したために、酸素需要を満たせなくなった状態をいいます。

呼吸不全 = 酸素供給 < 酸素需要

呼吸不全を招く原因には、①換気障害、②拡散障害、③運搬障害があります。これらのいずれもが、酸素供給を低下させます。換気障害があれば、酸素を十分に外界から取り入れることができず、酸素の供給は低下します。また、拡散障害があると、せっかく十分な酸素を取り込むことができても、その酸素が肺胞から血液中に渡されず(肺によるガス交換は、拡散という化学作用によって行われます)、カラダの組織に届けられません。さらに、酸素は血液中のヘモグロビンと結合して全身に運ばれますが、血流に障害が生じれば酸素の供給に支障が生じます。こうして酸素の供給が低下し酸素需要を満たせなくなれば、呼吸不全に陥ります。

2 酸素飽和度(SO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の関係

酸素飽和度とは、ヘモグロビンが酸素と結合している割合です(酸素と結合しているヘモグロビンを酸化型ヘモグロビンと呼びます)。

動脈血酸素分圧が低下すると、この酸素飽和度も低下していきます。

PaO2↓ ⇒ SO2

もっとも、動脈血酸素分圧が100Torrから60Torrまでの間は、酸素飽和度の下がり方も緩やかで90%くらいまでしか下がりません。しかし、動脈血酸素分圧が60Torrを切ると、酸素飽和度も急激に下がり始めます。
実は、

PaO2=60Torr SO2=90%

が正常値の限界値で、この数値を下回ると呼吸不全の症状を呈してくるそうです。

3 Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全

呼吸不全には、Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全があります。
Ⅰ型呼吸不全とは、拡散障害や運搬障害によって引き起こされる呼吸不全で、高二酸化炭素血症を伴いません(例:肺線維症、間質性肺炎)。
Ⅱ型呼吸不全とは、換気障害によるもので、高二酸化炭素血症を伴います(例:肺気腫)。

したがって、前述したとおり、

PaO260Torr

になったら、呼吸不全と診断されることになります。

そして、次に動脈血二酸化炭素分圧を調べます。動脈血二酸化炭素分圧の基準値は45Torrですから、これを越えれば高二酸化炭素血症となります。したがって、

PaCO245Torr  Ⅰ型呼吸不全

PaCO45Torr   Ⅱ型呼吸不全

と診断することになります。

ちなみに、一般的にはⅠ型呼吸不全の方が予後不良と言われています。高二酸化炭素血症を伴うものよりも、伴わない方が予後不良だなんて不思議な感じがしますが、換気障害によるⅡ型呼吸不全とは異なり、Ⅰ型呼吸不全は拡散障害(肺実質に問題があります)や運搬障害(循環機能に問題があります)のほうが病態として深刻だと思われます。
 
         
       
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