こちらは解決事例「弁置換術後にワーファリンを常用していた高齢患者が、抗菌薬投与後に脳出血を発症し常時要介護状態となったことについて、和解が成立し、役務提供分を含め約1億2000万円相当の経済的利益を確保した事例」のページです。
両下肢の麻痺および疼痛を訴えて救急搬送された高齢患者に対して、循環器科内科医が診察を怠り(いわゆる5つのPの確認すら十分にせず)、アセトアミノフェンを投与するのみで帰宅させたところ、急性動脈閉塞により翌日死亡したという事案です。
【証拠保全→調査→訴外交渉→訴訟】
証拠保全によって医療記録を入手し、これを基に医学的見地および法的見地から調査した結果、相手方病院の対応には過失があるものと判断しました。そのため、相手方病院に説明会開催を要求しましたが、拒絶されたため、訴訟を提起しました。
訴訟の中では、@医師が緊急搬送の受診時において、当時の亡患者の既往、主訴、所見等に鑑みて下肢血行障害(急性動脈閉塞症)を疑ったうえ、視触診やエコー等による血流評価を行い、可及的速やかに血管内治療または外科的治療により、下肢血流を再開させる処置を受けさせるべき注意義務(転医義務を含む。)を負っていたこと、A仮に、医師が同義務を履行していれば亡患者が死亡することはなかったことを主張しました。
訴訟提起から1年6ヶ月を経て、相手方病院が1750万円を支払うことを骨子とする訴訟上の和解が成立しました。
訴訟においては、相手方病院が提出した医学意見書に対し、緻密に反論し弾劾しつくしたことにより、裁判所の心証が患者側有利に固まったものと思われます。