こちらは解決事例「医師の凝固能管理に問題があったため、患者が脳出血を発症し、常時要介護状態となったため、交渉で9500万円を賠償させ、2500万円以上に相当する介護等の権利を獲得した事例」のページです。
患者は、未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術を受けました。その術中に、医師が母血管を穿孔しましたが、緊急開頭術によって血腫を除去することなく、対症療法として、バルーンによる圧迫止血を行ったのみで手術を続行しました。コイル塞栓術は完遂されましたが、術後に再出血(くも膜下出血)を生じたため、開頭血腫除去術等が行われたものの、患者は常時要介護状態に陥ってしまいました。そのため、相談者(患者とそのご家族)は弊所にご相談くださいました。
任意開示によって医療記録を入手し、これを基に調査した結果、有責との判断に至りました。しかし、診療経過において、担当医が悪い結果になったことを詫びた事実があり、依頼者も話し合いによって解決することを望んでいました。それらのことを考慮して、訴外交渉での和解を目指し、依頼者と相談したうえで、額の明示はせずに賠償を求めることにしました。
しかし、通知書を送付したところ、手技に問題はなかった旨の回答をされたため、その内容に反論しながら、緊急開頭術によって血腫を除去せず、緊急性のないコイル塞栓術を続行したこと等、具体的な問題点を指摘しました。
通知書を送付してから1年3ヶ月の交渉の末、訴外交渉による和解により、500万円の賠償金を獲得することに成功しました。医師の手技上の過失を責める内容であるため、当初から交渉が難航することは予想していましたが、相手の書面に反論する際に、的確な内容であったことが奏功したと思います。